第13話　ゴールデンウィーク

５月１日。
この年のゴールデンウィークは初の10連休で、
保育園休み。病院休み。
私にとっては楽しみどころか大変な10日間だった。

病院は完全休みではないのだが、
口内ケアの専門医さんがずっと休みで
看護師さんに「口内が汚れると肺炎になりやすいんです」と言われた。
「えっそれって・・10日間は何もできないということですか？」
「いいえ、看護師がケアしますので大丈夫です」
看護師さん、大変なのにありがとうございます。

以前、母が危ないと思ったとき、
ゴールデンウィークまでもたないかもしれないという気がしていたが
幸いその予感は当たらなかった。
不安を持ったままというのはしんどいが、
それなりにやっていくしかない。
悲観だけは避けて、なんとかかんとかやりすごそう。

旦那さんは稼ぎ時で、ずっと仕事なので
私が子供二人を連れて母の病院や近くの公園へ出かけた。

今までの子連れ外出はたいてい母が一緒だったので、
今度はなんだか慣れていないが、それなりになんとかなった。

公園でめいっぱい遊んで、母の病院へ行く。
５歳と４歳の子供は大はしゃぎで、静かな院内に声がよく響くので、
あまり長居はさせられない。
けれど、母は喜んでいたし、良かったと思うこともたくさんあった。

母のもとに、本当はずっと居たい。
病院に泊まりたい。

長居は出来ない分、ほぼ毎日病院に行った。
母はもう話せなかったが、優しい眼差しで私たちを見てくれていた。